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トレイトPHP は、コードを再利用するための「トレイト」という仕組みを実装しています。 トレイトは、PHP のような単一継承言語でコードを再利用するための仕組みのひとつです。 トレイトは、単一継承の制約を減らすために作られたもので、 いくつかのメソッド群を異なるクラス階層にある独立したクラスで再利用できるようにします。 トレイトとクラスを組み合わせた構文は複雑さを軽減させてくれ、 多重継承や Mixin に関連するありがちな問題を回避することもできます。 トレイトはクラスと似ていますが、トレイトは単にいくつかの機能をまとめるためだけのものです。 トレイト自身のインスタンスを作成することはできません。 昔ながらの継承に機能を加えて、振る舞いを水平方向で構成できるようになります。 つまり、継承しなくてもクラスのメンバーに追加できるようになります。 例1 トレイトの例
優先順位基底クラスから継承したメンバーよりも、トレイトで追加したメンバーのほうが優先されます。 優先順位は現在のクラスのメンバーが最高で、その次がトレイトのメソッド、 そしてその次にくるのが継承したメソッドとなります。 例2 優先順位の例 基底クラスから継承したメソッドは、MyHelloWorld に SayWorld トレイトから追加されたメソッドで上書きされます。 この挙動は、MyHelloWorld クラスで定義したメソッドでも同じです。 優先順位は現在のクラスのメンバーが最高で、その次がトレイトのメソッド、 そしてその次にくるのが継承したメソッドとなります。
上の例の出力は以下となります。 Hello World! 例3 もうひとつの優先順位の例
上の例の出力は以下となります。 Hello Universe! 複数のトレイト
複数のトレイトをひとつのクラスに追加するには、 例4 複数のトレイトの使用例
上の例の出力は以下となります。 Hello World! 衝突の解決同じ名前のメンバーを含む複数のトレイトを追加するときには、 衝突を明示的に解決しておかないと fatal エラーが発生します。
同一クラス内での複数のトレイト間の名前の衝突を解決するには、
この方法はひとつのメソッドだけしか使えませんが、
例5 衝突の解決 この例では、Talker がトレイト A と B を使います。 A と B には同じ名前のメソッドがあるので、 smallTalk はトレイト B を使って bigTalk はトレイト A を使うように定義します。
Aliased_Talker は、
メソッドのアクセス権の変更
例6 メソッドのアクセス権を変更する
トレイトを組み合わせたトレイトクラスからトレイトを使えるのと同様に、トレイトからもトレイトを使えます。 トレイトの定義の中でトレイトを使うと、 定義したトレイトのメンバーの全体あるいは一部を組み合わせることができます。 例7 トレイトを組み合わせたトレイト
上の例の出力は以下となります。 Hello World! トレイトのメンバーの抽象化トレイトでは、抽象メソッドを使ってクラスの要件を指定できます。 アクセス権は public, protected, private をサポートしています。 PHP 8.0.0 より前のバージョンでは、 public と protected な抽象メソッドだけがサポートされていました。 警告
PHP 8.0.0 以降では、具象メソッドは シグネチャの互換性に関するルール を満たさなければなりません。 これより前のバージョンでは、シグネチャは異なっていても構いませんでした。 例8 抽象メソッドによる、要件の明示
トレイトの static メンバートレイトでは、static 変数、static メソッド、static プロパティを定義できます。
例9 static変数
例10 staticメソッド
例11 staticプロパティ
プロパティトレイトにはプロパティも定義できます。 例12 プロパティの定義
トレイトでプロパティを定義したときは、 クラスではそれと互換性 (公開範囲と型とreadonlyの有無、そして初期値が同じ) がない同じ名前のプロパティを定義できません。 互換性がない名前を定義すると、致命的なエラーが発生します。 例13 衝突の解決
定数PHP 8.2.0 以降では、トレイトでも定数を定義できます。 例14 定数を定義する
トレイトで定数を定義したときは、 クラスではそれと互換性 (公開範囲と初期値、そして final の有無が同じ) がない同じ名前の定数を定義できません。 互換性がない名前を定義すると、致命的なエラーが発生します。 例15 衝突の解決
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