debug_zval_dump

内部的な zval を表す文字列をダンプする

説明

void debug_zval_dump(mixed $value, mixed ...$values)

内部的な zval (Zend の値) を表す文字列表現をダンプします。 これは Zend Engine や PHP 拡張モジュールの実装の詳細をデバッグしたり、理解したりするのに役立ちます。

パラメータ

value

ダンプする変数または値。

values

ダンプする追加の変数または値。

戻り値

値を返しません。

例1 debug_zval_dump の例

<?php
$var1 = 'Hello';
$var1 .= ' World';
$var2 = $var1;

debug_zval_dump($var1);
?>

上の例の出力は以下となります。

string(11) "Hello World" refcount(3)

注意: refcount を理解する

Zend Engine の実装の詳細を理解していないと、 この関数が表示する refcount の値に驚くかもしれません。

Zend Engine は、リファレンスカウントを以下の2つの用途で使います:

  • "コピーオンライト" と呼ばれるテクニックを使ってメモリを最適化し、 値が同じ複数の値を保持する複数の変数を、メモリ上の同じコピーを指すようにします。 この場合、変数の値が変更された時に、 その変数は新しいメモリ上のコピーの値を指すようになります。 そして、その変数のリファレンスカウントは1になります。
  • リファレンス渡しされたり、リファレンスが代入されている値( リファレンスの説明 も参照ください) を追跡する用途にも使います。 この用途のリファレンスカウントは、 現在の値を指しているものとは別の、リファレンス用の zval に保存されています。 この追加の zval は、現状 debug_zval_dump では見えません。

debug_zval_dump は、値渡しされた通常の引数を入力として受け取るので、 コピーオンライトのテクニックを使います: つまり、データをコピーせず、 関数呼び出しが行われている間、リファレンスカウントをひとつ増やします。 関数が受け取った引数を変更すると、データのコピーが行われます。 コピーを行わないと、呼び出しスコープの中でリファレンスカウントがひとつ増えてしまうからです。

渡す引数によっては、debug_zval_dump はリファレンスが割り当てられている変数を表示しません。 この動きを示すために、上の例をちょっと変更した例を考えてみましょう:

<?php
$var1 = 'Hello';
$var1 .= ' World';
// Point three variables as references to the same value
$var2 =& $var1;
$var3 =& $var1;

debug_zval_dump($var1);
?>

上の例の出力は以下となります。

string(11) "Hello World" refcount(2)

$var1, $var2, $var3 はリファレンスで結びついていますが、 だけが debug_zval_dump に渡されます。 この値は、リファレンスの設定に一度使われ、 debug_zval_dump の中で一度使われます。 よって、リファレンスカウントは2になります。

データ型によっては、Zend Engine 内で最適化が行われてしまうため、 ユーザはさらに混乱してしまいます。 整数のように "コピーオンライト" を行わないデータ型の変数では、 リファレンスカウントを全く表示しません。 別の場合、このリファレンスカウントの値は、 内部的に使われる追加のコピーの値を表示する場合もあります。 たとえば、文字列リテラルや配列が、命令セットの一部として保存されているような場合です。