set_error_handler
ユーザー定義のエラーハンドラ関数を設定する
説明
callablenull set_error_handler(callablenull $callback
, int $error_levels
= E_ALL
)
この関数は、実行時にカスタムのエラーハンドラを定義するために使います。
例えば、致命的なエラーの際にデータやファイルを消去する必要があるような
アプリケーションや、ある条件のもとに
(trigger_errorを使用して)エラーを発生する必要がある
アプリケーションがこの場合にあたります。
コールバック関数が false
を返さない限り、error_levels
で指定した型のエラーでは PHP 標準のエラーハンドラが完全にバイパスされることに注意してください。
error_reporting の設定にかかわらず、どのような場合でも
ユーザーが設定したエラーハンドラがコールされます。ただし、この場合でも
ハンドラで error_reporting の現在の値を読み込み、
それにあわせて適切に動作させることは可能です。
ユーザーハンドラ関数は、必要に応じて exit を
コールすることで、スクリプトを停止させる責任があることにも注意しましょう。
エラーハンドラ関数がリターンした場合、エラーが発生した次の行から実行が継続されます。
以下のエラータイプは、ユーザー定義の関数では扱えません。
E_ERROR
, E_PARSE
,
E_CORE_ERROR
, E_CORE_WARNING
,
E_COMPILE_ERROR
,
E_COMPILE_WARNING
。これらは発生した場所に関係なく使えません。
また、set_error_handler がコールされたファイルで発生した
大半の E_STRICT
も、ユーザー定義の関数では扱えません。
(ファイルアップロードのように)スクリプトが実行される前にエラーが
発生した場合、カスタムエラーハンドラはコールされません。
これは、その時点では登録されていないためです。
パラメータ
-
callback
-
null
を渡すと、ハンドラをデフォルトの状態に戻せます。
それ以外の場合、次のシグネチャに従うコールバックを渡します:
bool handler(
int $errno
,
string $errstr
,
string $errfile
= ?,
int $errline
= ?,
array $errcontext
= ?
)
-
errno
-
最初のパラメータ
errno
は、発生させる
エラーのレベルが整数で渡されます。
-
errstr
-
2 番目のパラメータ
errstr
は、
エラーメッセージが文字列で渡されます。
-
errfile
-
コールバックが第3引数
errfile
を受け入れる場合、
エラーが発生したファイルの名前が文字列で渡されます。
-
errline
-
コールバックが第4引数
errline
を受け入れる場合、
エラーが発生した行番号が整数で渡されます。
-
errcontext
-
コールバックが第5引数
errcontext
を受け入れる場合、
エラーが発生した場所のアクティブシンボルテーブルが配列で渡されます。
つまり、エラーが発生したスコープ内でのすべての変数の内容を格納した
配列が errcontext
だということです。
ユーザーエラーハンドラは、決してエラーコンテキストを書き換えては
いけません。
警告
このパラメータは PHP 7.2.0 以降では 推奨されなくなり、
PHP 8.0.0 で 削除されました。
この引数をデフォルト値以外に設定すると、
ハンドラが呼び出された時に "too few arguments" エラーが発生します。
この関数が false
を返した場合は、通常のエラーハンドラが処理を引き継ぎます。
-
error_levels
-
設定パラメータ
error_reporting
で表示するエラーを制御するのと全く同様に、
callback
の起動を制御する際に
使用可能です。
このマスクを指定しない場合、
callback
は
error_reporting の設定によらず
全てのエラーに関してコールされます。
戻り値
前に定義されたエラーハンドラ(ある場合)を返します。
組み込みのエラーハンドラを使用している場合は null
を返します。
前に定義されたハンドラがクラスメソッドの場合、この関数は、
クラスとメソッド名からなる添字配列を返します。
例
例1
set_error_handler および
trigger_error によるエラー処理
以下の例では、エラーを発生させることによる内部例外の処理や
それらをユーザー定義関数で処理する方法を説明します。
<?php
// エラーハンドラ関数
function myErrorHandler($errno, $errstr, $errfile, $errline)
{
if (!(error_reporting() & $errno)) {
// error_reporting 設定に含まれていないエラーコードのため、
// 標準の PHP エラーハンドラに渡されます。
return;
}
// $errstr はエスケープする必要があるかもしれません。
$errstr = htmlspecialchars($errstr);
switch ($errno) {
case E_USER_ERROR:
echo "<b>My ERROR</b> [$errno] $errstr<br />\n";
echo " Fatal error on line $errline in file $errfile";
echo ", PHP " . PHP_VERSION . " (" . PHP_OS . ")<br />\n";
echo "Aborting...<br />\n";
exit(1);
case E_USER_WARNING:
echo "<b>My WARNING</b> [$errno] $errstr<br />\n";
break;
case E_USER_NOTICE:
echo "<b>My NOTICE</b> [$errno] $errstr<br />\n";
break;
default:
echo "Unknown error type: [$errno] $errstr<br />\n";
break;
}
/* PHP の内部エラーハンドラを実行しません */
return true;
}
// エラー処理のテスト用関数
function scale_by_log($vect, $scale)
{
if (!is_numeric($scale) || $scale <= 0) {
trigger_error("log(x) for x <= 0 is undefined, you used: scale = $scale", E_USER_ERROR);
}
if (!is_array($vect)) {
trigger_error("Incorrect input vector, array of values expected", E_USER_WARNING);
return null;
}
$temp = array();
foreach($vect as $pos => $value) {
if (!is_numeric($value)) {
trigger_error("Value at position $pos is not a number, using 0 (zero)", E_USER_NOTICE);
$value = 0;
}
$temp[$pos] = log($scale) * $value;
}
return $temp;
}
// 定義したエラーハンドラを設定する
$old_error_handler = set_error_handler("myErrorHandler");
// エラーを発生します。まず、数値でない項目が混ざった配列を定義します。
echo "vector a\n";
$a = array(2, 3, "foo", 5.5, 43.3, 21.11);
print_r($a);
// 二番目の配列を生成します。
echo "----\nvector b - a notice (b = log(PI) * a)\n";
/* Value at position $pos is not a number, using 0 (zero) */
$b = scale_by_log($a, M_PI);
print_r($b);
// 配列の代わりに文字列を渡しており、問題を発生します。
echo "----\nvector c - a warning\n";
/* Incorrect input vector, array of values expected */
$c = scale_by_log("not array", 2.3);
var_dump($c); // NULL
// ゼロまたは負数の対数が定義されないという致命的なエラーを発生します。
echo "----\nvector d - fatal error\n";
/* log(x) for x <= 0 is undefined, you used: scale = $scale" */
$d = scale_by_log($a, -2.5);
var_dump($d); // ここには到達しません
?>
vector a
Array
(
[0] => 2
[1] => 3
[2] => foo
[3] => 5.5
[4] => 43.3
[5] => 21.11
)
----
vector b - a notice (b = log(PI) * a)
<b>My NOTICE</b> [1024] Value at position 2 is not a number, using 0 (zero)<br />
Array
(
[0] => 2.2894597716988
[1] => 3.4341896575482
[2] => 0
[3] => 6.2960143721717
[4] => 49.566804057279
[5] => 24.165247890281
)
----
vector c - a warning
<b>My WARNING</b> [512] Incorrect input vector, array of values expected<br />
NULL
----
vector d - fatal error
<b>My ERROR</b> [256] log(x) for x <= 0 is undefined, you used: scale = -2.5<br />
Fatal error on line 35 in file trigger_error.php, PHP 5.2.1 (FreeBSD)<br />
Aborting...<br />
参考
- ErrorException
- error_reporting
- restore_error_handler
- trigger_error
- エラーレベル定数