crypt

文字列の一方向のハッシュ化を行う

警告

この関数は (まだ)バイナリデータ対応ではありません!

説明

string crypt(string $string, string $salt)

crypt 文字列のハッシュを返します。 Unix 標準の DES ベースのアルゴリズムか、 代替のアルゴリズムを使用します。 password_verifycrypt と互換性があるので、 crypt が作ったパスワードハッシュは password_verify でも使えます。

PHP 8.0.0 より前のバージョンでは、salt パラメータは必須ではありませんでした。ただ、これを省略すると crypt が作るハッシュが弱いものになってしまっていました。 このパラメータを省略した場合には、E_NOTICE が発生していました。 十分に強い salt を指定して、セキュリティを確保しましょう。

password_hash は、強力なハッシュを使い、強力なソルトを生成して、それを複数回自動的に適用します。 password_hashcrypt のシンプルなラッパーであり、既存のパスワードハッシュと互換性があります。 password_hash を使うことを推奨します。

ハッシュ方式は、salt 引数によって決まります。 salt を省略した場合は、標準の 2 文字 (DES) の salt を自動生成します。 あるいは、MD5 crypt() が使えれば 12 文字 (MD5) の salt を自動生成します。 PHP の定数 CRYPT_SALT_LENGTH には、 ハッシュで使用できる salt の最大長が格納されています。

標準の DES ベースの場合、crypt は出力の最初の 2 文字を salt として使用します。また、 string の最初の 8 文字しか使用しません。 つまり、最初の 8 文字が同じである長い文字列は、 同じ salt を使う限り同じ結果となります。

以下のハッシュ形式がサポートされています:

  • CRYPT_STD_DES - 標準の DES ベースのハッシュで、 アルファベット "./0-9A-Za-z" からなる 2 文字の salt を使用するもの。 salt として無効な文字を使うと crypt() は失敗します。
  • CRYPT_EXT_DES - 拡張した DES ベースのハッシュ。 "salt" は 9 文字で、 アンダースコアの後に 4 文字の反復回数と 4 文字の salt が続きます。 これらの4文字それぞれが、24ビットにエンコードされ、 下位の文字から順に並びます。 0 から 63 までの値は ./0-9A-Za-z の範囲内の文字でエンコードされます。 salt に無効な文字を使うと crypt() は失敗します。
  • CRYPT_MD5 - $1$ ではじまる 12 文字の salt を使用する MD5 ハッシュ。
  • CRYPT_BLOWFISH - Blowfish ハッシュ。salt の形式は、 "$2a$" か "$2x$" あるいは "$2y$"、2 桁のコストパラメータ、"$"、そして文字 "./0-9A-Za-z" からなる 22 文字となります。 この範囲外の文字を salt に使うと、crypt() は長さゼロの文字列を返します。 2 桁のコストパラメータは反復回数の 2 を底とする対数で、 これは Blowfish ベースのハッシュアルゴリズムで使います。 この値は 04 から 31 までの範囲でなければならず、 それ以外の値の場合は crypt() は失敗します。 "$2x$" ハッシュは潜在的に弱いハッシュです。 "$2a$" ハッシュはこれと互換性があり、この弱点を軽減します。 新しくハッシュを生成する場合は、"$2y$" を使うべきです。
  • CRYPT_SHA256 - SHA-256 ハッシュに $5$ で始まる 16 文字の salt を組み合わせたもの。salt 文字列が 'rounds=<N>$' で始まる場合は、数値 N がハッシュループの実行回数を表します。 これは Blowfish のコストパラメータのようなものです。 rounds のデフォルトは 5000 で、1000 から 999,999,999 までの値を指定できます。 この範囲外の N を指定すると、近い方の境界値に切り詰められます。
  • CRYPT_SHA512 - SHA-512 ハッシュに $6$ で始まる 16 文字の salt を組み合わせたもの。salt 文字列が 'rounds=<N>$' で始まる場合は、数値 N がハッシュループの実行回数を表します。 これは Blowfish のコストパラメータのようなものです。 rounds のデフォルトは 5000 で、1000 から 999,999,999 までの値を指定できます。 この範囲外の N を指定すると、近い方の境界値に切り詰められます。

パラメータ

string

ハッシュしたい文字列。

警告

CRYPT_BLOWFISH を使うと、 string が最大 72 バイトまでに切り詰められます。

salt

ハッシュのもととなる salt 文字列。省略した場合の挙動は アルゴリズムの実装によって決まるので、予期せぬ結果となることがあり得ます。

戻り値

ハッシュした文字列を返します。 失敗した場合は、salt とは異なることが保証されている 13 文字未満の文字列を返します。

警告

パスワードを検証するときの文字列比較関数は、 タイミング攻撃に対して脆弱ではないものでなければいけません。 これをもちいて、crypt の出力と既知のハッシュとを比較します。 この比較を行うために、hash_equals 関数が使えます。

変更履歴

バージョン 説明
8.0.0 salt は、オプションではなくなりました。

例1 crypt の例

<?php
$user_input 
'rasmuslerdorf';
$hashed_password '$6$rounds=1000000$NJy4rIPjpOaU$0ACEYGg/aKCY3v8O8AfyiO7CTfZQ8/W231Qfh2tRLmfdvFD6XfHk12u6hMr9cYIA4hnpjLNSTRtUwYr9km9Ij/';

// PHP 以外のソフトウェアと互換性がある方法で、既存の crypt() ハッシュを検証します
if (hash_equals($hashed_passwordcrypt($user_input$hashed_password))) {
   echo 
"Password verified!";
}
?>

注意

注意: 復号するための関数はありません。 crypt が使用しているのは単方向アルゴリズムだからです。

参考

  • hash_equals
  • password_hash
  • 暗号化関数についての Unix man ページ